今注目の『#キャンピングカー』Instagram投稿画像をAIが分析!

Pixial レポート
食卓に新たな彩りを。話題の「イタリア野菜」って何?

株式会社ジャパン・カレント

1. はじめに

写真共有アプリ「Instagram」は、世界で最も成長しているソーシャルメディアの1つであり、その投稿内容には多くの写真とともに人々の「体験」や「意図」が現れています。当社はこれらの投稿を集合データとして分析し、「人々の行動変容」や「消費活動」の傾向などをレポートとして発信します。

2. 分析対象 「#イタリア野菜」

コロナ禍による在宅時間の増加から約1年が経過し、料理のレパートリーにも変化が欲しくなってきた昨今、「フェンネル」や「ロマネスコ」など、あまり聞き馴染みがなく、しかも形も変わった野菜を見かけた方はいませんか?
これらは近年日本でも若手農家の方などを中心に栽培されるようになってきた「イタリア野菜」の一種で、コロナ禍により飲食店などへの販路が少なくなったこともあり、直売所やスーパーなど一般の市場にも出回るようになってきています。
しかし初めて目にする食材は、実際にどのように調理したらよいかなど、購入を迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、SNSから「イタリア野菜」にまつわる投稿を分析し、実際どんな食材に人気があり、どのような料理に使っているのか?また、日本ではどのような地域で作られているのかなど様々な分析をしてみたいと思います。

3. 投稿画像群分析

今回はInstagram上に2020年10月から2021年3月にかけて投稿された画像注1約5,300枚を分析しました。

注1:Instagram上に投稿され、かつ調査時点で公開(誰もがInstagram上で閲覧できる状態)の投稿のみを対象としています。対象期間の全ての投稿ではありません。

画像群グループ分析

当社独自のAIにより「#イタリア野菜」の投稿画像群を分類した結果、以下のグループ注2に分かれました。

料理

1,355件(25.6%)

葉野菜全般

586件(11.1%)

436件(8.2%)

袋詰商品

391件(7.4%)

テキスト(メニューほか)

248件(4.7%)

ロマネスコ

244件(4.6%)

フェンネル、プンタレッラ等

220件(4.6%)

145件(2.7%)

店頭(パンなど)

141件(2.7%)

129件(2.4%)

店頭(野菜)

127件(2.4%)

パッケージ

110件(2.1%)

ラディッキオ

107件(2.0%)

パック入り野菜

96件(1.8%)

根菜類

94件(1.8%)

丸い野菜&柑橘類

89件(1.7%)

アーティチョークやキクイモ

83件(1.6%)

その他

696件(13.1%)

注2:上記カテゴライズは分類後のグループを人間の目で見てラベル付けをしたもの。グループ境界付近やどの特長にも属さない画像は「その他」に分類されます。

まず一番多かった「料理」のグループから人気食材や調理方法を、そして「畑」のグループからは「生産地」などを確認してみようと思います。

料理ではどんな食材が使われている?

「料理」グループの投稿の中で、#イタリア野菜と一緒に付加されたハッシュタグ名のランキングを調べ、その上位5つの食材と、投稿の中から特に目を引いた料理の例をそれぞれご紹介したいと思います。

1位 カーボロ ネロ(cavolo nero:黒キャベツ)

カーボロ ネロ(cavolo nero:黒キャベツ)

一般のキャベツよりも「しっかりとした歯ごたえと味」というコメントが多く、黒キャベツというだけあって各投稿写真からも葉の色の濃さが伝わってきます。キャベツ自体は馴染みのある野菜でもあり、調理方法が想像しやすいのか、様々なアレンジ料理が投稿されていました。

[料理例]カーボロネロと豚肉の重ね蒸し

2位 プンタレッラ(puntarelle:チコリ)

2位 プンタレッラ(puntarelle:チコリ)

ローマを代表する高級イタリア野菜とのこと。外葉は苦みがあり、主に中のお花のような部分を食べるようです。サラダに使われている投稿が多く見られました。

[料理例]プンタレッラのフリット ボッタルガパウダーかけ(ボッタルガ≒からすみ)

3位 フィノッキオ(finocchi:フェンネル/ウイキョウ)

3位 フィノッキオ(finocchi:フェンネル/ウイキョウ)

爽やかな香りに特長があり、「ウイキョウ」や「フェンネル」という名前でも販売されているようです。レモンとの相性もよいとのことで、生のサラダやピクルスの他、茎の部分をカツレツにするなど様々な投稿がみられました。

[料理例]フェンネルの味噌ポタージュ

4位 チーマディラーパ(cima di rapa:西洋菜花)

4位 チーマディラーパ(cima di rapa:西洋菜花)

軽い苦味とかすかに感じる酸味に特長がある野菜で、からしや粒マスタードとの和え物など、日本の菜の花と同じような調理方法の投稿が多いように感じました。

[料理例]チーマディラーパとあさりのワイン蒸し

5位 ロマネスコ(Broccolo Romanesco)

5位 ロマネスコ(Broccolo Romanesco)

見た目はとても変わっていますが、カリフラワーの一種で、味もブロッコリーとカリフラワーの中間といったコメントが多く見られる食材です。現地イタリアでは、卵やチーズ、ベシャメルソースなどをつなぎとして焼き上げる「スフォルマート」という食べ方があるようですが、日本ではブロッコリーと同じような調理法が目立ちました。

[料理例]鶏肉とキャベツ、ロマネスコのマスタードクリームソースパスタ

日本ではどこで作っている?

「畑」グループの投稿から、日本での栽培場所を調査してみます。
Pixialでは投稿にロケーション情報が付加されている場合、投稿地域も把握することが可能です。

図「#イタリア野菜 畑画像グループの投稿ロケーション」

図「#イタリア野菜 畑画像グループの投稿ロケーション」

ロケーション情報では、南は鹿児島から北は山形まで、幅広い地域でイタリア野菜が栽培されていることがわかりました。ロケーション情報以外も含めて、キャプション等から識別できた都道府県だけでも、山形、宮城、長野、茨城、千葉、埼玉、東京、静岡、京都、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島など、育てている種類は別にしても、ほぼ全国的にイタリア野菜の栽培地域が広がりをみせているようです。また、一般農家だけでなく、イタリアンレストランを経営する企業が自社農場を持ち栽培するケースもみられました。

皆さんどこで買っている?

「店頭(野菜)」「袋詰商品」などの画像グループから調べたところ、主に以下のようなところでイタリア野菜を入手しているようです。

  • 農産物直売所
  • マルシェ(週末などに行われるイベント的な市場)
  • 農家の収穫体験
  • ふるさと納税の返礼品
  • 農家からの直接購入

特に注目は「農家からの直接購入」で、SNSや専用のプラットフォームを通じ、生産者が小売店等を介さず消費者と直接コミュニケーションを取って販売する手法が、農産物の分野でも広がりを見せていることがわかりました。

4. その他

イタリア野菜といえば「トキタ種苗株式会社」

日本でイタリア野菜が普及しはじめたのは、埼玉県にある「トキタ種苗株式会社(以下、トキタ種苗社と表記)」が始めた「グストイタリアプロジェクト」に端を発しています。日本の気候風土に合わせた品種改良を行い、名称表記の統一や美味しい食べ方まで提案するプロジェクトで2009年からスタートしています(トキタ種苗社ホームページより要旨を抜粋)。今回の調査でも多くの農家の方々が「#イタリア野菜」とともに「#トキタ種苗」をつけて投稿していました。また、トキタ種苗社もイタリアの現地スタッフが市場の様子やレシピ紹介などをInstagram上に投稿しています。

レシピもInstagramで

料理レシピといえばメジャーなサービスがいくつもありますが、今回Instagram上でもイタリア野菜を様々なアイデア料理のレシピを発見することができました。初めて見る野菜でも、これだけ調理方法のアイデアが充実していれば、購入したあとからでも自分好みの調理法を選ぶことができそうです。また、イタリア在住の日本人の方による投稿などもあり、本場の食べ方も知ることができます。

まだまだ知らない野菜が沢山

今回紹介しきれなかったイタリア野菜もまだまだあり、どの料理写真もとても美味しそうでした。また生産地も日本全国にあり、各農家の皆さんも色々な作物生産にチャレンジしていることがわかりました。
在宅時間が増えて1年、日本はもう少し我慢の時期が続きそうですが、これを機会に定番食材の定番料理だけでなく「生産者直送サービス」などを利用して、少し変わった食材を使った料理にもチャレンジして食卓に新しいレパートリーを取り入れてみてはいかがでしょうか。