コロナ禍で注目!?
SNSからみるキャンピングカー事情
株式会社ジャパン・カレント
1. はじめに
写真共有アプリ「Instagram 注1」は、世界で最も成長しているソーシャルメディアの1つであり、その投稿内容には多くの写真とともに人々の「体験」や「意図」が現れています。当社はこれらの投稿を集合データとして分析し、「人々の行動変容」や「消費活動」の傾向などをレポートとして発信します。本レポートが、各企業や団体の皆様の参考になれば幸いです。
注1:InstagramはFacebook,Incが提供している無料の写真共有アプリケーションです。2. 分析対象 「#キャンピングカー」
新型コロナウイルス感染症が拡がる中、「不特定多数との接触」かつ「遠距離の移動」を伴う、団体旅行あるいは飛行機や電車に長時間乗るような旅行は避けられる傾向にあります。一方で、「家族単位で移動できる」「宿泊先が制限されない」という観点で、今「キャンピングカー」が注目されています。
しかしながら、一般の人々にとってまだまだ「キャンピングカー」は敷居が高く、実際に目にすることも体験する機会もほとんどないかと思います。そこで今回は、SNSから「キャンピングカー」にまつわる投稿を分析し、実際のユーザーはどんなスタイルで楽しんでいるのか?また、そのメリットやデメリットなどを見ていきたいと思います。
3. 投稿画像群分析
今回はInstagram上に2020年12月上旬から2021年1月中旬までに投稿された画像注2約20,000枚を分析しました。旅行やキャンプのメインシーズンであるゴールデンウィークから秋にかけては、風景やキャンプの写真が圧倒的に多くなり、逆にキャンピングカー周辺の様々なシーン投稿が分析しにくくなると考え、敢えて冬場の投稿を分析しています。
注2:Instagram上に投稿され、かつ調査時点で公開(誰もがInstagram上で閲覧できる状態)の投稿のみを対象としています。対象期間に投稿されていた全ての投稿ではありません。画像群グループ分析
図1「#キャンピングカー」の画像群を独自AIで分類し3D表示したもの当社独自のAIにより「#キャンピングカー」の投稿画像群を分類した結果、以下のグループ注3に分かれました。
ペット(犬・猫) 2,282件 |
テントと車 764件 |
テキスト(広告含む) 1,382件 |
人物 1,036件 |
焚火、ランタン、小物 888件 |
食事 1,712件 |
車(キャブコン以外) 1,929件 |
キャンピングカー(キャブコン) 1,889件 |
雪景色 509件 |
自然(海、山) 2,360件 |
建物(外観) 826件 |
車の中、建物の中 4,615件 |
どんな楽しみ方をしている?
1. オーソドックスなキャンピングカースタイル
主にキャンピングカーが写っている画像群からは、宿泊先の制限もないとあって、のんびり九州一周や御朱印集め、道の駅巡りなど、本格的に自由な旅を楽しむスタイルの投稿がみられました。まさに真っ先に誰もがイメージするキャンピングカーのスタイルではないでしょうか。冬場のため西日本中心の投稿でしたが、中にはキャンピングカーでワカサギ釣りやスキー場といった冬を満喫する方々の他、本格的に生活の拠点をキャンピングカーにし、日本一周旅行の様子をYouTubeで公開されている方々も複数みられました。
写真はイメージです2. ペットと旅行
犬や猫などのペットは家族同然。旅行も一緒に行きたいけれど、宿泊先が限られるため自家用車では日帰りが精一杯といった方々に、キャンピングカーは新たな選択肢かもしれません。ペットが写る画像群をみると、ドッグランがある施設や広い公園の他、広々とした砂浜もペットとキャンピングカーで訪れる人気スポットのようです。
写真はイメージです3. キャンプ
やはりキャンピングカーといえば「キャンプ」。テントや焚火などが写る画像群からは、さまざまなキャンプシーンの投稿が見られました。オートキャンプ場など、様々な設備があらかじめ整っている施設を訪れキャンプをする比較的ライトなスタイルから、キャンピングカーの自由度を活かして、夜空の綺麗な穴場スポットでのキャンプや今の季節ならではの冬キャンプなど、様々なキャンプスタイルを楽しんでいる様子がうかがえました。
写真はイメージですどんな車に乗っている?
運転席の上部が大きく張り出した形の車がいわゆるみなさんがイメージするキャンピングカーかと思います。これらは「キャブコン」(キャブコンバージョンの略)と呼ばれるタイプで、広い居住空間が特徴です。家族や大人4人旅、長期旅行などの投稿にはこのタイプの車が多く見られました。
その他にも、バンやワゴンをキャンピングカー仕様にした「バンコン」や、コンパクトな軽自動車サイズの「軽キャンパー」などがキャンピングカーとして市販されています。ソロキャンパーや大人2人旅、まだ子供が小さい家族による投稿では、これらの車種が多い傾向にありました。
なお、「キャブコン」を含めて実はほとんどのキャンピングカーが「普通免許」で運転できます。一方で、車で「牽引する」タイプについては、別途免許が必要注4ということもあり、投稿自体もほとんどありませんでした。
周辺サービスは?
Instagram上には一般消費者からの投稿の他に、広告(企業広告の他、店舗アカウントからの宣伝投稿など)投稿があります。これらを分析することで、周辺サービスも把握することができます。今回のキャンピングカーでは、以下のようなサービスの広告投稿が多く見られました。
1. キャンピングカーレンタルサービス
キャンピングカーレンタル業者による投稿です。やはりキャンピングカーはまだまだ敷居の高い存在。身近で体験するには「レンタル」という手段はまさにうってつけです。また、広告だけでなく実際ユーザー側として「キャンピングカーを初めてレンタルして○○へやってきました!」といった投稿も多く見られました。中には車のサブスクリプションサービスでのキャンペーンに当選し、キャンピングカーレンタルを体験した方の投稿もありました。
2. キャンピングカー専用駐車場
キャンピングカーは、車中に設置する各機器(冷蔵庫やレンジなど)を動かすため通常の車よりも電力を必要とします。特に寒い時期は、車中泊時に暖房機器へ電力供給をする必要があります。そこで、キャンピングカーユーザー向けに、『快適に安心して車中泊が出来る場所』を提供するための専用駐車場サービスが全国展開されています。そこでは24時間利用可能なトイレや入浴施設、電力供給設備の他、ごみ処理の引き受けなどのサービスもあるようです。キャンピングカー初心者にも、長期旅行者にも安心のサービスですね。
3. オリジナルキャンピングカー製作
市販のキャンピングカーの他に、オリジナルキャンピングカーを製作する企業からの投稿も見られました。キャブコンタイプのオリジナルカー製作から、大型の市販車をキャンピングカーに改造する企業など、様々な投稿がみられました。ユーザーの要望によって、自由にカスタマイズできるのは大きな魅力かもしれません。
4. まとめ
主なメリットとデメリット
キャンピングカーのメリットは、やはり「旅の自由度」かと思います。チェックインの時間や食事などを気にせず、その日の天候や気分に合わせて自由に旅程を変更できる点は、とても魅力的かと思います。また、プライベート空間の確保という点では一般的な車と同じですが、ペットも含め、移動中でも同乗者がくつろげるスペースがある点は、新しい旅の魅力かもしれません。
一方、デメリットといえば車両の大きさでしょうか。特に「キャブコン」と呼ばれるタイプは高さも含めて広いスペースが必要であるため、特に都市部では駐車時の制約があります。「バンコン」や「軽キャンパー」といった選択肢は、都市部の方向きかもしれません。
キャンピングカーオーナーはDo It Yourself!
投稿画像の中で、圧倒的に多かったのは車中の写真です。キャンピングカーで旅行そのものを楽しむ以前に、キャンピングカーオーナーは様々な工夫を凝らして、棚やテーブル、器具を設置するなど、車中改造を楽しむ様子が見て取れました。なお海外の投稿(#campingcar)も調査したところ、こちらも車中改造のBefore/Afterを見せる投稿が人気で、自分の使いやすいように手作りで改造する醍醐味が、キャンピングカーのもう一つの魅力のようです。
新しい旅行スタイルに
キャンピングカーレンタルサービスは、購入を迷っている方に向けた「事前体験のためのサービス」だけではなく、コロナ禍でも安心かつ移動時間も含めた「非日常体験」を提供する新しい旅行スタイルとして、今後盛り上がってくるのではないでしょうか。みなさまも次の旅行シーズンの選択肢にいかがですか?